東貞央の鬼がかり夜話

アタシの怪談、鬼がかっていますねぇ。

東貞央の本当にあった怖い話「お地蔵様」

アタシが高校2年生の頃の話です。当時のアタシは漫画部に所属し、とても静かに、穏やかに生活していたわけなんですけどね。とても人様に恨みを買うような少年ではなかった。しかしながらある日「南光の東を殺る(やる)」なんて物騒なこと言って騒いでる他校の生徒がいるってアタシの耳に入ってきた。たしか「チュウバチマサオ」とか言ったのかな。そんな人ぜんぜん知らないんだよねアタシ。何かの間違いじゃないのかい?って思いましたよ。そんでいろいろ調べると彼は暴走族に所属するような不良少年なんですよ。おまけに空手をやっていて喧嘩も強いらしい。アタシと何の共通点もない。そんな猛者が攻めてきたらアタシなんかひとたまりもない。あっという間に殴り殺されてボロ雑巾のように山に捨てられますよ。そんなことを考えると怖くて学校へも行けなくなった。登校拒否ですよ。朝から夕方まで近所の墓地で時間を潰して家に帰るんだね。そんなある日、いつものように墓地で母ちゃんの作った弁当を食ってると一体のお地蔵様と目が合った。アタシは藁にもすがる思いでお地蔵様に卵焼きを一切れお供えして「チュウバチマサオを殺してください」とお祈りした。それから一週間後ですよ。「チュウバチマサオが学校の屋上から飛び降りて自殺した」って聞いたのは。それから人づてに聞いた話によると「南光の東」ってのはどうやら人違いでアタシとはまったく関係のない話だったらしいですよね。チュウバチマサオはなぜ自殺してしまったのか。後味の悪い話でした。ありがとうございました。